お盆・初盆法要について(家族葬・京都・まるいち)

葬儀後には様々な法要が行われます。初盆の法要もそのひとつで、初盆は故人に対して初めて行われるお盆の法要となります。

お盆・初盆飾りの内容や準備・飾り方については、地域や宗派によって異なる点が多く、浄土真宗のように、そもそもお盆飾りを行わない宗派もあります。

ここでは、一般的にお盆飾りとして広く用いられているものを、それぞれの意味と飾り方などをご紹介してまいります。

●お盆の由来

お盆の正式名称は盂蘭盆会(うらぼんえ)と言い、古代インドで用いられていたサンクリット語の「ウランバナ(地獄の苦しみから救う)」に漢字を当てはめた言葉です。

この「ウラバンナ」という言葉には、次のような逸話があります。

「仏説盂蘭盆経」の一説です。

あるときお釈迦さまの弟子のひとり、目連尊者が

「母親が餓鬼道に落ち苦しんでいる」ことを知り、そのことをお釈迦さまに相談しました。

すると

「夏の修行が終わった7月15日に、多くの施しをすれば母親は救われる」

とお釈迦さまに諭されました。目連尊者はその教えどおりに、旧暦7月15日に多くの供物とともに母を供養し、修行明けの僧侶たちにも徳を施したのです。

すると、母親は地獄の苦しみから救われ、極楽往生を遂げられたのだとか。

また、「お盆」という言葉は「盂蘭盆会」だけでなく「盆礼」という行事に由来しているという説もあります。7世紀ごろ、祖先崇拝の信仰(祖霊祭)である「盆礼」と「盂蘭盆会」が合わさり、祖先を供養する仏教行事という現在の形になったともいわれます。

●お盆・初盆の準備は宗派によって異なるの?

お盆・初盆の盆棚(精霊棚)や精霊馬は、真言宗・曹洞宗・浄土宗・日蓮宗・臨済宗・天台宗などの宗派で用います。

浄土真宗では、お墓参りや読経などは他の宗派と変わらず行いますが、迎え火・送り火や精霊迎え・精霊流しは必要ないとされています。盆棚(精霊棚)や精霊馬の用意も作る必要がないといわれています。

※ 浄土真宗では、御先祖様は浄土で仏様となっており、霊として帰ってくることはないという考え方が強くあるため、宗派としては迎え火や送り火などは行う必要はないとしています。

浄土真宗のお盆は御先祖様を縁として、仏様の教えに接する場として捉えられています。

●お盆はいつから? どうやって迎える?

お盆は一般に7月または8月の13日から16日の4日間ですが、地方により多少の違いが見られます。

全国的には8月のところが多いものの、東京など一部地域のお盆は7月です。

いずれの場合も、お盆飾りはその期間中に飾ります。

13日を「盆の入り」とし、16日の「盆明け」までの4日間を「お盆」とします。

ただ沖縄など、旧暦の7月13日~7月15日の3日間をお盆とする地域もあります。

事前に「その土地のお盆の時期」を確認しておくとよいですね。

故人が亡くなって四十九日が過ぎる前にお盆を迎える場合は、その年には初盆の行事をせず、翌年におこないます。

初日である13日に、先立たれた方のみ霊(たま)が戻ってこられるとされます。そのお迎えの方法が「迎え火」です。

「迎え火」以外にも、提灯(ちょうちん)を持ってお墓に迎えにいく、という地域もあります。

【迎え火】

13日お盆の入りの日(地域によるお盆の入り日)、ご先祖さまをお迎えする慣わしが「迎え火」です。

門前や玄関先で長いオガラ(麻の茎の皮をはぎ、乾燥させたもの)を小さく折って、素焼きの器などに組み火をつけます。立ち上る煙に乗り、炎を目印にして、ご先祖さまがいらっしゃるとされています。合掌し、お念仏をとなえてご先祖さまをお迎えしましょう。チラチラと燃える炎は、深く心に残るものです。この迎え火で、お盆が来たことを実感する、という方も多いと思います。

●どうやってご先祖さまをお送りする?

16日お盆明けの日(地域によるお盆明けの日)、ご先祖さまをお送りします。その際には多くの地域で「迎え火」と同様の方法で、「送り火」を焚きます。

送り火の風習で最も有名なのが、「大文字」の名でも知られる京都五山の送り火でしょう。

この地域では、この火によってご先祖さまを送っています。

また、飾りに使ったものやお供え物を小さな木の舟に乗せたり、真菰(まこも)に包んで川に流すことで、ご先祖さまをお送りする「灯篭(とうろう)流し」「精霊(しょうりょう)流し」という行事を行っている地域もあります。しかし、近年は環境問題から禁止している自治体も少なくありません。行事として実施しているか、可能かどうかを確認してから行いましょう。

【送り火】

迎え火は帰ってくるご先祖さまが迷わないための目印、送り火はお戻りになるのを見守るためといわれています。

お盆の終わりには迎え火と同様、送り火を焚いて、「来年もまた、お会いしましょう」と心を込め、一緒に過ごした時間を感謝し、懐かしみながらお送りします。

●お盆・初盆(新盆)のお供えや飾りなど

お盆・初盆のお供えや飾りは、盆棚(精霊棚)や提灯を準備する点は基本的に同じです。 初盆と通常のお盆で異なるのは、初盆では主に白提灯を設置することと、野菜や果物などのお供え物が多少豪華になるという点です。

準備はお盆の入り日(お迎え日)迄に、片付けはお盆の明け日(お送り日)以降に行います。

(御寺院様に法要をお願いする日程が前後する場合は、法要日まで準備しておきましょう。)

●こちらでは、盆棚(精霊棚)に準備する、お供物や飾り方、どのような意味があるのかを説明いたします。

あくまで一例としてお考えください。

宗派、地域によって飾り方もさまざまです。初めて準備する場合には、事前に菩提寺や親類、地域の方などに確認しておきましょう。

【盆棚(精霊棚)】

お供え物を置く祭壇は「盆棚(精霊棚)」と呼ばれます。

精霊棚は、しょうりょうだな、と読みます。

盆棚(精霊棚)はご先祖様の霊を迎えるための棚のことで、お盆の間、ご先祖様の霊はここに滞在すると考えられています。

一般的にお仏壇の前、あるいは横に準備します。

二段から三段の祭壇か、テーブルなどを使用した一段飾りにすることもあります。

盆棚の上にまず真菰(まこも)のゴザを敷き、次に蓮の葉、その上に精霊馬や季節の野菜・果物、故人の好んだものなどをお供え物として置くのが、盆飾りの基本となります。

真菰(まこも)を準備できない場合は、白い布を敷き、飾る場合もございます。

お釈迦様は、真菰(まこも)で編んだゴザの上で、病人を治療したという言い伝えがあります。

蓮は、泥水の中でも美しい花を咲かせ、水をはじく蓮の葉は迷いに染まることなく悟りを開くものの象徴といわれています。

【盆提灯】

お盆飾りには、盆提灯は欠かせません。

ご先祖様や故人の霊が帰ってくるときの目印として、盆棚の左右に飾ります。

盆提灯には、白色無地の提灯・絵柄の入った提灯・家紋を入れる提灯などがあります。

白色無地の提灯は初盆のみで使用されます。

白色無地の提灯は1度しか使えないため、近頃は初盆であっても絵柄の入った提灯を飾ることも珍しくありません。

【位牌】

お位牌は仏壇から出して盆棚に安置します。 盆棚の一番奥中央にご先祖様のお位牌を並べます。

【お線香】

お線香の香りは仏様の食事と言われていますが、実はその場やそこにいる人の浄化もしてくれます。

【香炉(線香用)】

お線香を焚くために準備する香炉となります。 お線香用の香炉は、日々のお勤めで使われている香炉を使用して問題ありません。

【香炉(焼香用)】

普通のお盆の時期にはお線香用の香炉だけでも良いのですが、初盆では僧侶の読経とともに参列してくださった方々にお焼香をして頂きます。

【燭台・ろうそく】

【りん・りん棒】

【お花】

【精霊馬と精霊牛】

きゅうりとなすを馬と牛に見立てて作った「精霊馬」と「精霊牛」を盆棚に飾ります。

「精霊馬」はご先祖様が戻られる時に、少しでも早く戻ってこちらで長い時間を過ごして頂きたい…

「精霊牛」は、あの世にはゆっくりと景色を楽しみながら戻っていただきたい…

という願が込められています。

また、あの世に戻られる時にお供え物を荷物として積んでいくとされている地域もあります。

【素麺】

ご先祖様があの世から戻られる時に乗ってくる馬の手綱に見立てて「素麺」をお供えします。

素麺は地域によってお供えの仕方が違い、生麺を束ねた状態でお供えするところと素麺を茹でて汁の中に入れてお供えするところがあります。

【ほおずき】

提灯の形に似ている「ほおずき」をお飾りすることで、ご先祖様が迷わずに戻ってこられるとされています。

【水の子】

なすやきゅうりをさいの目に切り、洗米と混ぜ合わせ、水を浸した器に入れてお供えします。

「水の子」は、餓鬼道に落ちた無縁仏へのお供えです。お盆に帰ってくるご先祖さまと同じように、すべての霊をおもてなししようとする優しい気遣いが感じられます。

また、あの世から戻られたご先祖様に渇いた喉を潤して欲しいという願いが込められているともいわれます。

水の子は、お盆の期間中毎日取り替えます。

【閼伽水(あかみず)】

閼伽水は、宗派や地域によっては「浄水」と呼ばれます。

器に水を入れ、その上に5?6本のミソハギの花を束ねて添えます。

(ミソハギの花は、みそぎの意味合いを持ち、悪霊払いをする植物とされます)

水は水道水で構いませんので、汲みたてのお水をお供えしましょう。

閼伽水にはあの世から戻ってこられるときにご先祖様と一緒に付いてきた悪霊を取り払うという意味が込められています。

【仏飯】

【野菜や果物】

夏の野菜や果物を器に盛ってお供えします。 果物は丸い形をした物が良いとされています。

【団子】

お団子は毎日取り替えてお供えします。 団子の種類は白団子、みたらし団子、あんこの団子と地域によって様々ですが、初盆の時には白団子をお供えすることが多いようです。

団子の数は地域によって違い「6個」、「7個」、「13個」、「49個」、「故人の年齢」と様々です。

事前に菩提寺の僧侶や親族の方もしくは地域の方に作る数と置き方を確認しておきましょう。

【お菓子】

故人の好物など

【霊具膳(りょうぐぜん)】

お盆の間はご先祖さまのために、食事を用意します。霊具膳、霊供膳、盆膳などと呼ばれる小さな食器セットに、肉や魚、匂いの強いものを使わない精進料理を盛り付けたお供えです。

お盆は、故人があの世からお盆期間の4日間だけ現世へ帰ってきて、私たちと一緒に過ごすという行事です。そのため、毎食私たちと一緒に故人が食事をしているように振る舞い、お膳でおもてなしをするという意味が込められています。

お供えする期間は、送り火で先祖をお送りするまでの期間中、毎食にお供えします。

基本的には毎食お供えしますが、1日1回に省略する場合もあります。

※マンション住まいなど現代の住空間で

盆棚(精霊棚)を設置するスペースがない場合は、仏壇の引き出す棚を利用するか、前に小机を置いて盆棚(精霊棚)の代わりとします。

盆棚(精霊棚)と同様に、まこも、蓮の葉を敷き、お盆飾りを置いてください。

また、位牌、花立、香、燭台を仏壇から小机の上に移動し、左右に小さな盆提灯を飾ります。空いたスペースにはお供え物を飾ります。

迎え火や送り火を焚けないマンション・住宅環境にお住まいの場合は無理せず、できる範囲で行うことが一番です。大切なのは、ご先祖さまの霊を供養するという気持ちです。

●僧侶や招待する人には早めに連絡をしておきましょう。

お盆の時期はご寺院様も忙しくなるため、法要をお願いする場合、遅くとも1ヶ月前までには連絡しておくと良いでしょう。

最後に…

お盆は故人のお墓参りや供養を通じて親族や親しい友人との絆を確認し深め合う良い機会でもあります。

飾り方だけでなく、そのいわれや意味を知っていただく事で、何気なく飾っていたもの、お供えしていたものに、より心をこめることができれば幸いです。

ページ公開日: 2021-07-30 
ページ更新日: 2024-06-10