【穢れ】が由来のしきたりについて
日本では古来より死は恐怖の対象と見られ、死は伝染すると信じられてきました。
ご遺体と接する遺族は死穢(死から生じる穢れのこと)に染まると考えられ、それは日をおって清められると考えられておりました。この日をおって清めらる期間を忌中といい、遺族が忌中の間は、普段馴染みの近隣の方々とのお付き合いを控えて、極力自宅に篭ることで、心身が清まると考えていました。
また、葬儀に参列した方にも穢れが伝播する事を危惧して、参列者が自宅に入るときは玄関先で自身に塩をかける事を清めとしておりました。
では、こうした発想の根幹となる穢れによって生まれたしきたりについていくつかご紹介していきます。
①清め塩
葬儀に参列してご自宅に戻った際に、玄関で身体に塩をかけて身を清めるしきたりです。
参列するとどうしてもご遺体の側に寄る事になり、それによる穢れが、ご家族や他の方に伝播する事がないようにとの思いで行われておりました。
また、地面に塩を敷き、水を入れた手桶を用意して、火葬場から戻ってくるとすぐに地面に敷いた塩を踏み、手を拭く事で穢れを払うとする地域もあります。
また、同じ仏教でも浄土真宗では亡くなった方を穢れの対象と考えない為、清め塩は不要としたり、キリスト教でも清め塩を用いる発想はなく、宗旨/宗派によっても考えは異なります。
②守り刀
日本ではご遺体を北向きに寝かせその胸元に短刀を置く習慣があります。これを「守り刀」と呼びます。この守り刀の風習は全国各地で古くから行われていますが、その由来には定まった説がなく、仏教、神道、民間信仰などの考えが交わってできたしきたりだといわれる説が有力として、説明されています。
その中でも、神道から由来した説として、神道は死者を穢れ(けがれ)とする考え方が強いため、この穢れを払うために胸元に刀を置いて、遺族に穢れが及ばないように用いられたとされる説があります。
また、習慣/しきたりからの由来では、神道とは逆に遺族に遺体からの穢れが及ばないようにする為に置かれてきた説もあります。
守り刀についても仏教の浄土真宗では、亡くなった方は即身成仏され、すぐに仏様になられるという考えのもと穢れる事が無いので守り刀を必要としないとしています。
③神棚封じ
日本では、自宅に仏壇と神棚の両方ある方が多く、古来から日本独特の神仏習合の考えによるものだとされています。
神棚封じとは、そのお家に不幸がおきると、神棚の前の榊やお供えを全ておろして、神棚の上部に半紙を貼る事で、亡くなった方から生じる穢れが神棚に及ばないようにするものです。
この神棚封じは仏式の忌中までの49日間、もしくは神道での忌中とされる50日祭(忌中より1日長い)まで封じておくものとされています。
神棚封じを終えた後は、神棚の半紙をとり、普段行なっていたお供えをします。
④晴れまいり
忌中が終わり、もしくは50日祭を終えた後に地域の氏神となる神社へお参りに行き、忌明けした報告と感謝、そしてこれからの日常生活が安泰である事を願って参拝に出向く事を言いますが、この晴れまいりについては、地域性があるようです。
⑤釘打ちの儀式
釘打ちの儀式とは、火葬場に向けて出棺する際に、
閉めたお棺のフタの上部に、血縁の濃い方から順番に釘を打つ事を言います。
この儀式も亡くなった人を穢れとする考えからきているといわれております。
故人の穢れが遺族へ移らないようにする為と、釘打ちの儀式を行う事で、故人との別れにケジメを付ける為でもあったといわれております。
また、釘を打つ際に、金槌ではなく石を使って打つとする地域もあり、石は三途の川にある石に見立てているそうです。
ただ、今では、この釘打ちの儀式は遺族にとって故人との別れに対して酷な行いと感じられる為、あまりみかけない儀式となっているようです。
⑥ 火葬場への行き帰りに道を変える
火葬場への行きと帰りの道を変える事で、親族に穢れが付いてこないようにするものです。
まだ日本が土葬の時代に、お棺を墓地まで担いで行き、埋葬した後に帰り道を変えると言う風習が由来しているようです。故人に帰り道を分からなくさせて霊が戻って来ない様にするのはで少し酷なようですが、これには『逝く先を違えずにしっかり供養して欲しい』との想いが込められています。
他に、出棺時に棺をクルクルと手添えの方々で回して、故人の方向感覚を失わせて帰り道がわからなくするといったしきたりもあるようです。
また、納棺時に立ち会いのご遺族が鰹節や醤油もかけない真っ白な豆腐一丁を共通の箸で少しずつ手に取って食して、体の中を白い豆腐を入れる事で、穢れないように清めると考えるしきたりもあるようです。
こうした、穢れによるしきたりや習慣は地域によって様々存在しますが、今回はより全国的に知られたしきたりを紹介致しました。
ただ、近年はご紹介したしきたりを常識的に行う地域も少なくなり、穢れに対する認識も薄れているように感じます。
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ページ公開日: 2025-04-14
ページ更新日: 2025-05-05