樒について(家族葬・京都・まるいち)

●樒とは

樒は仏式の葬儀で使われている植物です。「しきみ」または「しきび」と読みます。地域によって異なりますが、仏前やお墓に供える植物として一般的なものです。

○樒の特徴

樒はマツブサ科シキミ属で美しい緑色をしている常緑小高木(じょうりょくしょうこうぼく)に分類されていて、高さは10メートルほどまで育ちます。樒の葉は鮮やかな緑色で、10センチ程度の大きさになります。樒が仏事で使われる理由の一つは、一年中どの期間でも美しい緑色の葉をしているということです。春になると薄い黄色の花を咲かせますが、多くの場合は花をつけていない状態で仏事に使うことになります。

○樒には毒がある?

樒の花言葉は「猛毒・援助する・甘い誘惑」です。この花言葉通り樒には強い毒があり、花から根っこまでのすべてに「アニサチン」という猛毒を含んでいます。特に樒の実には神経毒があり、食べると嘔吐、腹痛、下痢、痙攣、意識障害が起こり、最悪の場合死に至ります。樒は、葬儀の場でよく見られる植物なので、誤って小さいお子さんが口にしないようにご注意ください。この他、樒は独特の強い香りを放つことから、香の木(こうのき)、香の花(こうのはな)、香芝(こうしば)と呼ばれることもあります。お焼香で使う粉末状の香は、樒の樹皮と葉を乾燥させたものです。抹香は、線香の材料としても使用されています。ドライアイスがなかった頃は、遺体の腐敗臭を和らげるために、納棺の際に棺に樒を敷き詰めていました。古来の日本は土葬が主流であったため、樒の強く独特な香りは故人を獣や邪気などから守っていたと考えられています。ちなみに、秋に真っ赤な花を咲かせるヒガンバナも強い毒を持っているため、遺体を守るために墓地に植えられたとされています。

●樒と榊の違い

樒は、榊と混同されることがよくあります。それぞれの共通点や違いはどこにあるのでしょうか。

○榊とは

榊とはツバキ科の常緑小高木で、小さい白い花を咲かせるのが特徴です。神道では神棚や祭壇に榊の枝をお供えします。神棚にお供えしている榊の枝は、毎月1日と15日の月2回新しいものに取り換える他、神事のお祝い事やお祭りなどの時にも、新しい榊をお供えします。

○樒の榊の共通点と違い

どちらも常緑小高木で、一年中綺麗な緑色の葉をつけています。祭壇を作る際に使われることや、お墓にお供えすることも共通しています。それぞれで異なる点として、樒には独特の強い臭いがありますが、榊にはほとんど香りはありません。また、樒は仏事に使われますが、榊は神式の葬儀などに使われるという違いがあります。紙垂をつけた榊を祭壇に捧げる玉串奉奠(たまぐしほうてん)では、榊は欠かすことができません。樒と榊の見わけ方として、双方の葉っぱに着目すると良いでしょう。樒は5枚の葉がついていますが、榊には左右対称に葉がついています。混同されることは多いものの、それぞれを見比べると、樒と榊はあまり似ていないのです。

●樒と仏教の関わり

樒は、鑑真によって中国から日本に持ち込まれ、古くから仏教とかかわりがあった植物です。鑑真は5度の失敗にも負けずに、船で唐へ行き6度目にしてやっと成功して日本に仏教を広く伝えた人物です。鑑真が持ち込んだ樒は、仏教を象徴する植物になりました。この他、真言宗の開祖である空海にも、樒とのエピソードがあります。唐で密教の修行を行っていた空海は、修行で使う青蓮華(しょうれんげ)を必要としたのですが入手が困難でした。青蓮華を手に入れられなかった空海は、代わりに樒を使って修行したと言われています。樒という漢字に「密」という字が使われている理由は、空海が密教の修行に樒を使っていたためと言われています。ちなみに、樒は別名「仏前草」と呼ばれています。仏の木という意味で「梻(しきみ)」という文字が使われることがあることからも、仏教とのつながりが深いことがわかります。

●葬儀での樒の使われ方

樒は、仏壇やお墓にお供えする植物として一般的な植物ですが、京都や大阪などの関西地方の葬儀では葬儀の飾りとして使われることがあります。お寺の門前や葬儀会場の入り口に飾る「門樒(かどしきみ)」や、祭壇の左右の後ろに飾る「二天樒(にてんしきみ)」など、その種類はさまざまです。4つの場所に樒を飾ることで、式場内には結界が張られます。樒の結界によって亡くなった人を邪気から守る意味があるとされています。先に挙げた門樒は、大樒(おおしきみ)や樒塔(しきみとう)と呼ばれている地域もあります。

●樒の主な使われ方

・末期の水

末期の水は、割りばしに綿をつけたものや筆に水を含ませて、故人の唇を濡らすという儀式です。この儀式の際に、樒の葉を使用する地域があります。樒は仏教において重要視されているため、末期の水の儀式でも使われる地域があります。

・納棺の時

遺体を棺に納める時に、樒を使うことがあります。棺の中に樒を敷き、その上にご遺体を納めます。樒は腐敗臭をわかりにくくする役割があるためです。現在は、ドライアイスやエアコンによって腐敗の進行を遅らせることができるため、この習慣は近年では減ってきております。

●まとめ

樒について、詳しく紹介をしました。古くから仏教とのかかわりが強い樒は、現代でもお墓のお供えや葬儀で用いられます。特に京都を中心とした関西地区の葬儀では、樒は欠かせないものです。

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ページ公開日: 2024-03-26 
ページ更新日: 2024-06-10