死装束・故人様の着替えについて(家族葬・京都・まるいち)

「死装束」とは大切な人が亡くなり、最後のお見送りをするときに故人に着せる服です。
ただ、「死装束」という言葉は知っていても、それについての詳細は知らない人も多いものです。
人生最後の装いとなる、死装束・故人様の着替えについてこちらでは簡単にご説明いたします。
● 死装束とは
死装束とは、納棺する前に亡くなった方に着せる最後の衣装のことを言います。読み方は「しにしょうぞく」です。
故人の最後の旅路が滞りなく行われるようにという願いを込めて着せるものであり、長い歴史があります。
一般的に「死装束」というと、日本では、着物タイプのものを指すことが多いといえます。ただ、現在ではそれぞれの考え方によって、まとう死装束が違ってきます。
「宗教」などで分けた場合は、だいたい以下の衣装です。
※仏教の場合「仏衣・経帷子」
※神道の場合「神衣」
※キリスト教の場合「ドレス・洋服」
※最近増えている「故人が愛用した服」
※最近増えている「エンディングドレス」
現在では、死装束は「故人の好きだった洋服にする」などのように多様化しております。
●仏教の場合
仏教での一般的な死装束は、【経帷子(きょうかたびら)】と呼ばれる白色の着物です。
多くの仏教宗派では、故人は浄土を目指す修行の旅に出るとされます。仏教の死装束は基本着物で、経帷子(きょうかたびら)、仏衣(ぶつえ)、浄衣(じょうえ)、経衣(きょうえ)と様々な呼び名があります。
だたし、仏教では宗派により死装束の考え方も異なります。浄土真宗では「往生即成仏(おうじょうそくじょうぶつ)」の教えから、人は亡くなればすぐに成仏すると考えられています。そのため、修行の旅に出ることはないので、旅姿は必要ありません。
【経帷子(きょうかたびら)とは】
帷子は単(ひとえ)で仕立てられた裏地のない白色の着物のことです。その帷子に故人様の極楽浄土を願う意味を込めて経文が書かれることがあり、経帷子と呼ばれるようになりました。「玉止めをしない」「返し縫いをしない」など仕立ても特徴的です。
玉止めなど糸の結び目は、この世への執着を連想させるもので、「この世にとどまってしまう」と考えられてきました。また返し縫いは、「この世に引き返す」というイメージから、成仏を妨げるとして避けられてきたものです。
経帷子には以下のものが含まれます。
・白い着物 ・腕、手首、手の甲などを覆う手甲(てっこう) ・足を覆う脚絆(きゃはん) ・首にかける頭陀袋(ずだぶくろ)
●着物は左前にして着せる
通常、着物は左襟が上にくる「右前」で着ますが、死装束では「左前」にします。左前にすると、自分から見て手前にある左の方を先に着付けられ、右の襟が上にきた状態になります。
通常の着方と反対にする理由についても、諸説あります。3つの説をご説明いたします。
①逆さ事の考え方によるもの
死の世界をこの世とは真逆の世界だとする考えが由来という説があります。
また、この世とあの世、日常と非日常を区別するために葬儀では、「逆さ事(さかさごと)」といって日常とは逆のやり方をする習いがあります。
②上流階級のしきたり
奈良時代には「庶民は衣服を右前に着る」、「上流階級は左前に着る」と法律によって定められていました。高貴な方のように送り出してあげたいという願望や、来世では上流階級になれるようにという願いから左前に合わせるようになったという説があります。
また、古くは位の高い者だけが左前を許されていたため、一般の人も亡くなった時には位が上がり仏さまになるという意味で着せたというエピソードもあります。
③お釈迦様の入滅時の着方
お釈迦様が入滅した時に「左側を前に合わせて衣服を着ていた」という説からの考え方があります。
※ 浄土真宗では他の仏式と異なります
浄土真宗は、すべての人は死後すぐに極楽浄土へ行くとされるため、死後の旅支度はしません。着物を着用する場合でも、左前ではなく右前で着せるのが一般的です。
また、色についても特にこだわりがありません。白を選ぶ必要はなく、故人が愛用していた色付きや柄物の着物を着せる家庭も多いようです。
どの説が正しくて、どの説が間違っているとはいえません。ただ、昔から引き継がれる「左前に着せる」というやり方は、現在も広く採用されています。
●神道の場合
神道の死装束は神衣(かむい、しんい)と呼ばれ、男性は狩衣(かりぎぬ)という神職が日常に着用している白い着物と同じです。女性は十二単(じゅうにひとえ)の略装である小袿(こうちぎ・こうちき)をまといます。神衣は守護神にふさわしい姿とされます。
神道では、人の死は神様から与えられた命を神様にお返しすることとされ、故人は子孫や家を守る守護神になると考えられています。
●故人が愛用した服
好きな衣類にお着せ替えができます。
生前、故人様がお好きだった洋服や着物を選んでご準備されます。ご家族様の思い入れのある衣類を着せてあげたいと思われる方も多いかと思います。
宗教的な違いは非常に重要なものではありますが、現在では故人が愛用した洋服や着物を選ばれる方も多くいらっしゃいます。
洋服を選ぶ際は、無理なく着用させてあげられる服を選ぶことが大切です。
亡くなった人は死後硬直が起きるため、普通の洋服では着せることが難しいことも多いからです。
洋服の場合は着る工程が着物よりも難しいため、着せづらい可能性があることを意識しておきましょう。
●死装束を着せるタイミング
納棺(故人に棺の中に入っていただく)までに死装束を着せ、身を整えます。
場合によっては、死亡直後や、湯灌およびエンバーミングをするタイミングで死装束を着せることもあります。
納棺前の一般的なタイミングをご説明いたします。
※故人に着ていただく愛用していた衣類のご準備などに時間が必要な場合などは、葬儀社のスタッフにご相談される事をおすすめいたします。
【清拭(せいしき)後に着替える】
清拭(せいしき)とは、脱脂綿などを使って体を拭きあげることです。病院ごとにどこまで行ってくれるかには違いがみられますが、これをもって「お体のお手入れが終わった」と考えるケースが多いといえます。
※病院以外の場所(ご自宅など)で故人が息を引き取られた場合では、看護師による清拭が行われない場合もあります。
その場合、弊社にて清拭をさせていただいております。
(弊社で行う清拭・お着せ替えに代金は不用です)
【湯灌(ゆかん)の後に着替える】
湯灌(ゆかん)とは、故人の体をぬるま湯で洗う儀式を指します。ご遺体を入浴させるものであり、逆さ水(水を入れて、その後にお湯を入れて温度を調整する方法)などの手法を使い、故人の体を清めていきます。 この湯かんの儀式を行う際は、「湯かんが終わり、体を拭いた後」に死装束が着せられます。
※ 湯灌を行う場合はオプション料金が必要となります。
現在は清拭が行われるため、衛生面からみても湯灌という体を洗う儀式は省略する場合が増えています。
しかし湯灌が行われるのは、衛生面・伝統的・宗教的な意味合いからだけではありません。死出の旅へと出る故人に「最期にゆっくりとお湯につかってもらいたい」「長かった闘病生活中お風呂に入ることのできなかった故人をねぎらいたい」といった遺族の意向により湯灌が行われる場合もあります。
【エンバーミングの後に着替える】
清拭や湯灌のように、故人の容姿を整える処置という意味は共通ですが、目的が大きく異なるのがエンバーミングです。
遺体を衛生的に長期間維持・保全することを主目的としているのがエンバーミングです。
エンバーミング施設へと移された遺体が、処置後に自宅や葬儀会場へと移動して安置されるという流れになります。
●誰が着せるのか
現在の葬儀においては、葬儀会社の担当者、あるいはそれに準ずるほかのスタッフが着せるケースが多く、一般的になっています。
かつては死装束はご家族が故人に着せるものでした。しかし現在は、特段の事情がない限り、多くの人が葬儀会社を利用して故人のお着せ替えを行っています。
最後に…
悔いなく、また、故人を安らかにお見送りするためにも故人の最後に着ていただく服装は心をこめて選んでいただければと考えております。
お着替えを希望されない場合や、お体の状態によってはお着替えが難しい場合もございます。
そのような場合は、お好きだった衣類を棺に納めたり、故人様のお体の上にかけて差し上げたりすることができます。
様々なご事情により、お着せ替えの準備ができない場合もあるかと思います。
信頼できる葬儀社と相談しながら決定されることをおすすめいたします。
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ページ公開日: 2023-03-17
ページ更新日: 2024-06-10